SANDERSON |
TEXAS |
(SND) |
サンダーソン駅は日中線熱塩駅です。 廃止間近の熱塩駅を知っている人ならば、この一文だけでサンダーソン駅がどういう状況なのかすぐに分かるはずです(若い人は知らないかな)。 1882年建造の大きな白い木造駅舎が健在で、遠目にはなんて立派な駅舎が建っているのだろうと思います。 しかし近付いてみると、この駅舎は廃墟なのだということが分かります。 崩れかけている屋根、割れた窓ガラス、扉の壊れた入口、砂埃にまみれた待合所、こんな駅に本当にアムトラックが停まるのだろうか。 いくらフラッグストップの駅だとしてもこの状況はひどすぎる。 ひょっとしたら別の場所に簡易待合所を造って、そこに停車しているのかもしれない。 そんな疑問が湧いてきたので、まずは地元の人に聞いてみようと駅周辺を見渡すのですが、もちろん誰もいません。 この町の人口は約850人、その数字が多く感じてしまうほど閑散とした町です。 しかし幸運にも駅の西側に郵便局を発見して、その局員の方に駅について尋ねることが出来ました。 やはりあの廃墟の駅に列車は停まるのだそうです。 いつものことですが見慣れない東洋人から意味不明な質問をされたのでかなり不審な顔をしていました。 誤魔化すために切手を少し買ったのですが、余計不自然だったかもしれません。 なんにしてもあの廃墟がアムトラックの駅だということがはっきりしたので、さらに詳しく駅の観察を始めました。 駅舎は廃墟ですが入口などは閉鎖されているわけではないので内部に入ることが出来ます。 外は快晴だったのですが、内部は薄暗く(というより外が明るすぎたので内部が余計暗く感じたのかもしれません)、薄気味悪い雰囲気が漂っています。 ホーム側の入口から入り、昔のチケットカウンターか事務所の跡を通って奥に向かうと、暗闇の中にトイレが見えてきました。 水洗式のようですが、きっと水は来ていないと思います。 本当は流れるかどうか確かめたかったのですが、入ることがためらわれるほど暗く、気味の悪いトイレだったので、近付けませんでした。 写真では明るく撮れていますが、それはフラッシュのためで、実際は良く見えないほど暗い中にあります。 もしトイレの中に入ったら、扉が勝手に閉まり二度と開かなくなるというような、そんな非現実的な心霊現象が起こっても不思議ではないくらい不気味なトイレでした。 この当時、アムトラックの時刻表にはサンダーソン駅はトイレ、待合所、公衆電話の施設があると表示されていました。 駅舎を一周しましたが公衆電話は見つかりませんでした。 待合所は埃まみれになることを気にしなければ、駅の中を使えます(でも待合所があるとは言えない気がする)。 そしてトイレですが、確かにこの駅にトイレはあります。 そういう意味ではアムトラックの時刻表は正しいのですが、「ある」 というのと 「利用出来る」 というのは別で、私はこの駅のトイレは使いません。 ここまで書いてふと思い出したのですが、あのトイレは汚かった割には全然臭いませんでした。 もう何10年も使われていないのでしょう(2013年1月現在、駅情報にはトイレ無しとなっています)。 また外に出て駅舎の外観を見て回るのですが、この駅舎にはアムトラックの駅だということを示すものが何一つありませんでした。 アムトラックマークの付いたオフィシャルの青い駅名標は見当たらず、それどころかこの駅にはここがサンダーソンだということを証明するものが何もありませんでした。 自分が本当にサンダーソン駅にいるのか不安になったほどです。 駅の周辺は起伏のある荒野が続いていて、フラッグストップ扱いだとはいえ、こんな所に駅を設置する意味があるのかと思うくらい何もない所です。 もちろんサンダーソンの住民にとってはかけがえのない交通機関なのでしょうが、いったい年間でどれほどの人がアムトラックの駅を利用するのでしょうか。 ちなみにグレーハウンドバスもこの町を通っています。 駅からは1ブロック北に向かうと大通り(US90号)に出るのですが、その西側にある JAENIES KOUNTRY KITCHEN というレストラン(だと思う)がグレーハウンドのバスストップになっています。 そういえばこの町にはファーストフードのお店(フランチャイズのお店で、マクドナルドやケンタッキーフライドチキンみたいなもの)がひとつもなかったです。 時代に取り残されたようなサンダーソンの町ですが、ある意味とても新鮮な気分にさせてくれます。 追記: アムトラックの2013年度の年間乗降客数が発表されました。 サンダーソンが最も利用客の少ない駅(年間乗降客261人)という結果が出ています。 年間でこの数ですから、いずれは廃止されてしまうかもしれません。 追記: サンダーソンの木造駅舎が2012年10月に解体されました。 所有しているユニオンパシフィック鉄道からは駅舎移転を条件に譲渡するとなっていましたが、保存運動での資金集めがうまくいかず、残念ながら解体という結果になりました。 |
駅情報: |
所在地 |
201 Downey
Street |
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経緯度 |
北緯30.14度 西経102.40度 |
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標高 |
847m |
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人口 |
837人 (2010年統計) |
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駅員 |
無人駅、フラッグストップの駅 |
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駅舎 |
木造駅舎、1882年建造 |
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乗降客数 |
261人 (2013年度) |
アムトラック列車情報: |
列車名 | 経路 |
[ Orlando, FL - Houston, TX - San Antonio, TX - Los Angeles, CA ] |
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[ Chicago, IL - San Antonio, TX - Dallas, TX - Los Angeles, CA ] |
2002年7月訪問 |
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駅舎ホーム側 |
駅舎ホーム側 |
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駅から西方向をのぞむ |
駅から東方向をのぞむ |
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内部は廃墟と化している |
トイレもご覧の通りの汚さ |
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オーランド、シカゴ方面
(東方向) |
ロサンゼルス方面
(西方向) |
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2001年5月訪問 |
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駅舎正面 |
サンダーソンはフラッグストップの駅です |
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駅舎ホーム側 |
駅から東方向をのぞむ |
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