Amtrak - North Philadelphia, PA (PHN)

重要： この駅への訪問は列車・車を問わずお勧めしません。　冒頭にこんな警告文を付けなければいけないほど、この駅周辺の治安は悪いのです。　まずはこの駅を訪れたときの体験をお話します。　車での駅訪が多い私ですが、この駅には珍しくフィラデルフィアから列車（SEPTA）で訪れました。　フィラデルフィア 30th Street駅の高架ホームから発車すると、しばらくは路線や留置線が入り組んだ場所を走ります。　北に向かっていた列車が東へ曲がり始めると大きな川を高い鉄橋で渡ります。　その両岸は起伏のある緑豊かな公園になっていて、高台から渡るので見晴らしの良い景色が望めます。　こんな緑地が都心部のすぐ近くにあるというのはアメリカらしいです。　「フィラデルフィアは結構いい町だな」と思い始めたところで目的地のノースフィラデルフィアに到着しました。　

着いてすぐあたりを見回すと、何か普通と違う雰囲気を感じました。　しかしその時はそれが何かは良く分からず、とりあえず駅の観察を始めました。　ノースフィラデルフィア駅はアムトラックとセプタで共用していますが、アムトラックの列車はほとんど停まらず、この駅の主役はコミュータートレインのセプタということが明らかです。　その主役のセプタでやって来たのですが、列車から降りたのは私だけで、駅は閑散としています。　プラットホームには人影も無く、これがフィラデルフィア至近の駅かと拍子抜けしました。　ワシントンDCの一駅となりにあるNew Carrolltonのような駅を想像していて、「ビジネス街にあり雑踏している」と勝手に思い込んでいたので、まったくの予想外です。　まずは駅の北口へ出てみると、そこには非常にシンプルなデザインの箱型の近代駅舎が建っています。　この駅の主役はセプタと言いましたが、駅舎にはアムトラックのロゴが取り付けてありました。　相変わらず人がいなくてひっそりとしています。　この駅は無人駅なので、事務所や窓口などは全て閉鎖されています。　駅舎の全景を撮ろうと、駅舎を背に歩き始めた時、やっと異変に気付きました。　

駅の周りに建っている住宅は、間取りの狭い部屋がたくさんつながってできた長屋のような建物で、それが何棟も建ち並んでいます。　その前には何をするでもない人たちが座り込んだり、うろうろしています。　車も廃車にしてもおかしくない程度のものが並んでいます。　プラットホームにいた時にこの光景を一瞬見て五感が反応し、異変を感じ取ったのだと思います。　しかしこういう場所にある駅にしてはノースフィラデルフィア駅は清潔だったので、油断してしまったようです。　しかしすべてが判明した今は身体は危険を感じ、心臓が高鳴っています。　「早くこの町から出なくては」と思っているのですが、駅の南口を見ていません。　そこで恐る恐る線路下の地下通路を抜け、南口にある旧駅舎を観察します。　この旧駅舎はペンシルバニア鉄道時代の1908年建造の建物ですが、今は店舗に改造されていて昔の面影はありません。　ただ装飾は残されており、正面上部には「Pennsylvania RR」というペン鉄道時代の社名も見ることが出来ました。　周囲を気にしながらの観察でしたが、これで終了です。　

それでは早いとこ脱出しなくては。　ノースフィラデルフィアにはSEPTAの地下鉄（オレンジライン）が乗り入れています。　それに飛び乗るのがベストだと思い、地下鉄駅の入口を探します。　しかし見つからない。　普通は大通りの歩道に看板などが出ていてすぐ分かるのですが、いくら探してもありません。　仕方なくガソリンスタンドのレジのおばさんに尋ねます。　防犯用の鉄格子越しに「地下鉄の駅はどこですか」と聞いたのですが、答えは素っ気なく「知らない」。　「知らない訳がないだろう」と思いつつも、たぶん変な東洋人が切羽詰った顔をして聞いたので、おばさんは関わりたくなかったのでしょう。　仕方がないので別の店を当たります。　次の店はＰａｗｎ（質屋）でしたが、店内には体格のいい黒人の兄さんが数人たむろしていました。　泣きたくなりましたが逃げるのもおかしいのでそのまま店の奥へと行き、また鉄格子越しに地下鉄駅の場所を聞きました。　意外にも非常に親切に駅までの道のりを教えてくれて、ホッとしました。　その説明によると、アムトラック（セプタ）の駅と地下鉄駅は少し離れているようです。　

地下鉄駅までの道のりを緊張しながら歩きます。　地下鉄駅の行き方が分かったのになぜ緊張しているのかというと、道路の両側には廃墟のビルが続き、スプレーの落書きと窓ガラスは割れ放題。　仕事のない人たちが座り込み、ジッと私を見ています。　ここの人種構成はほぼ全員が黒人でした。　単一民族の中にひとり違う人種がいると目立つものです（日本もそうですが）。　生きた心地のしないまま歩いていると、前方に地下鉄駅への入口が見えました。　「早くあの安全地帯へ」と気は急ぎ、早足で階段を駆け下ります。　しかし、この地下鉄駅は安全地帯ではなかった。　悪臭が漂う汚れきった駅は、相変わらず怪しい人たちで埋め尽くされていました。　ホームで電車を待っている間も緊張しっぱなし、電車に乗っても人種構成に変化はなくやはり緊張。　フィラデルフィアのダウンタウンが近づくにつれ様々な人種が混ざるようになり、やっと一息つけました。　ということで、皆さんにはノースフィラデルフィアの訪問はお勧めしません。　ノースフィラデルフィアの人がすべて悪人だと言っているのではありません。　実際、親切に道を教えてくれた人もいます。　ですが、私が体で感じ取った異様な雰囲気を私は信じたい。　やはり行くべき場所ではないと本能が察知したのだと思います。　これは私一人の体験談ですが、在住者のご意見もあります。　フィラデルフィア在住の宇関陽一さんからノースフィラデルフィアに関する情報を頂きましたので、ここで紹介いたします。　宇関さんありがとうございます。

さて、ヒッキさんのフィラデルフィアの道中記ですが。　いやあ、やっぱり重要なのは「カンは頼りにするべきだ」って事ですよね。　良く帰って来たなあって思いました。　ノースフィラデルフィアは、治安の悪いフィラデルフィアにあって、更に最低の場所と言われてます。　まあHellって訳ですね。　フィラデルフィアを取り巻く様に東にはフィラデルフィアのデラウエア川対岸の町NJ州Camden、サウス・イーストフィラデルフィア、全て治安は酷いのですが、北は一番群を抜いて酷いんですよ。　多分東海岸ではトップクラス＝アメリカでも有数の危険地帯じゃないかと思います。　僕はTemple大学の学生ですが、Templeもダウンタウンの北に位置していて、大学警察がいっつもがんばってます。　それでも、Templeの敷地から１ブロック離れた場所で銃殺事件が起こったりしてますね。　それから、SEPTAのRegional　Linesのノースフィラデルフィア周辺にあった駅をことごとく廃止にしたようで、乗ってると廃駅を見つけたりします。　SEPTAのノースフィラデルフィア（治安に似合わずちょっと小奇麗で乗降もそれなりに多いですね）の駅から地下鉄までは微妙に距離がありますよね。　それとSEPTAはケチケチ商売で乗り換え案内とか全然表示しないんですね。　NYのように地下鉄の入り口が目立つわけでもないし、分かりにくかったと思います。　確かに、あの路線の駅の中で、ノースフィラデルフィアは抜群に汚いと思います。　80年代のNYの地下鉄の様に、悪循環でお手上げなんじゃないでしょうか。　綺麗にする→誰かが落書をする～を繰り返すような感じですかね。　黒人の人でも、仕事を持ってる人はそんなに酷くはないはずですよ。　やっぱりやる事がある人は勢いがありますから。　でも、そういう人に救われて良かったと思います。（原文）

所在地	2900 North Broad Street Philadelphia, PA 19132
経緯度	北緯39.67度　西経75.75度
標高	30ｍ / 100ft
人口	1517550人 (Philadelphia)
駅員	無人駅
駅舎	近代駅舎、建造年不明
乗降客数	1399人（2005年度）

列車名	経路
KEYSTONE	[ New York, NY - Philadelphia, PA - Harrisburg, PA ]
REGIONAL	[ Boston, MA - New York, NY - Washington, DC - Newport News, VA ]

名称	種別
SEPTA - Southeastern Pennsylvania Transportation Authority	コミュータートレイン、地下鉄


駅舎正面（北口） 2003年4月30日		一見小奇麗な駅だが周辺環境は最悪である 2003年4月30日


南口にある旧駅舎（現在は店舗に改造） 2003年4月30日		装飾は昔のままに残っている 2003年4月30日


北東方向（ニューヨーク方面）をのぞむ 2003年4月30日		南西方向（ワシントンDC方面）をのぞむ 2003年4月30日