NEW ORLEANS |
LOUISIANA |
(NOL) |
ニューオリンズ、何とも魅力的な響きを持った地名です。 アメリカ最長の大河、ミシシッピー川の河口にあるデルタ地帯に発達したこの町は、湾曲するミシシッピー川に沿っているその形から、別名 Crescent City(三日月市)とも呼ばれています。 アムトラックのニューオリンズとニューヨークを結ぶ長距離列車 「クレセント号」 の名称はここから来ています。 町の南側にミシシッピー川、北側には大きな塩水湖ポンチャトレイン湖と、水辺に囲まれていて、相当に湿気っぽい所であります。 ミシシッピー川が造り出したこの湿地帯はルイジアナ州南部をカバーしており、アメリカ最大の湿地帯となっていて、大河ミシシッピーのスケールの大きさがうかがえます。 低湿地帯に位置する都市ということで問題もあります。 ニューオリンズ市の約70%の土地は海抜0メートル以下となっていて、アメリカの大都市でこれほど低地に位置する都市は他にありません。 このため、豪雨時の冠水やその排水などで市は頭を抱えています。 また地盤沈下も深刻な問題で、観光スポットとして有名なフレンチ・クオーターではこの60年で約60センチ地盤が沈下しました。 湿地帯に囲まれたニューオリンズ、しかしながらこの独特の地形や環境は、独特の文化を育みました。 ここはアメリカでも有数の観光地で、内外からの多くの観光客で賑わっています。 「ジャズの町、ニューオリンズ」、これが一番良く使われるタイトルですが、それだけではない何か特別の雰囲気がこの街には備わっていて、多くの人を惹き付けるのでしょう。 私としては、人を惹き付ける魅力というより、人を狂わせる魔力のようなものをこの土地から感じます。 ニューオリンズのアムトラック駅はダウンタウンの南西にあり、1954年建造の駅舎はグレーハウンドバスと共用しています。 アムトラックのチケットカウンターは朝5時45分より夜9時45分までの営業ですが、待合所は24時間開放されています。 中途半端な時期に造られた駅舎ですが、飾り気のない質素な建物は今の建造物にはない無骨さがあり、とても駅らしい雰囲気を持っています。 この駅には3本のアムトラック長距離列車、シティーオブニューオリンズ号、クレセント号、サンセットリミテッド号が乗り入れています。 ニューオリンズは人口約50万の大都市ですが、湿地帯に囲まれているので付随する衛星都市がなく、メトロポリス(大都市圏)を形成していません。 そのため中心部から車で15分も走るとあたりは何もない湿地帯となってしまいます(本当に何もない、見渡す限りの湿原となります)。 このような都市に3本も長距離列車が乗り入れているというのは他では見られません。 これはニューオリンズが超一級観光地という証でもありますし、現在のアムトラックの長距離列車はこのような観光客によって支えられているということでもあります。 ニューオリンズとほぼ同じ規模の都市にジョージア州のアトランタがあります。 アトランタはニューオリンズとは違いメトロポリスを形成していて、周辺都市を含めると相当の人口になると思われますが、アムトラックの列車は1本しかありません(クレセント号、ニューオリンズ~ニューヨーク)。 やはりアトランタはビジネスライクな都市の性格が強く、間延びした長距離鉄道という移動手段は相応しくないのでしょう。 しかしニューオリンズではその町の特性がアムトラック長距離列車の性格とうまく結び付いたため、今でも3本の列車が残っているのかもしれません(とは言っても赤字路線には変わりはなく、廃止話は常に取り沙汰されているが)。 この3本の列車を使うとニューオリンズの到着前(もしくは出発後)に雄大な湿原や長大な橋などの見所を通過します。 最初に紹介するのはサンセットリミテッド号のニューオリンズ、シュリーバー(Schriever)間にある Huey P. Long Bridge (ヒューイ P. ロング橋)。 この橋は1935年に完成した道路との併用橋で、ミシシッピー川を約30メートルの高さで越え、その長さは7082メートルあり、全米で最長の鉄道橋となっています。 クレセント号ではニューオリンズ、スライデル(Slidell)間で、ポンチャトレイン湖の湖上を9.6キロの土手で渡ります。 両側の車窓からは水面しか見えず、船からのような景色が展開します。 そのほかサンセットリミテッド号のニューオリンズ、ベイセントルイス(Bay St. Louis)間やシティーオブニューオリンズ号のニューオリンズ、ハモンド(Hammond)間では遮る物のない広大な湿原や湖岸などを走り、この地域特有の景観を楽しめます。 ニューオリンズにはセントチャールス線(St. Charles Line)とリバーフロント線(Riverfront Line)という2本のストリートカーの路線があります。 セントチャールス線は開業当時から生き残った唯一の路線で、東京でいう都電の荒川線のような存在です。 このニューオリンズのストリートカーの開業は1835年で、開業から現在まで継続して運行しているものとしては世界最古の市電と言われています。 この市電は1951年の 「欲望という名の電車(A Streetcar Named Desire)」 という映画で取り上げられ有名になりました。 まだ市電の路線がたくさんあった頃、そのひとつに Desire Line という Desire Street を通る路線がありました。 その電車の表示板には 「Desire」 という路線名が表示されていたので、この電車を 「欲望(Desire)という名の電車」 と呼んだのです。 もちろん現在のセントチャールス線には 「St. Charles」 と表示されているので、厳密に言うとこの路線は 「欲望という名の電車」 とは無関係です。 私はこの映画を観たことはないのですが、「Desire」 を 「欲望」 と訳していることで、なんとなくその映画の雰囲気がわかります。 「Desire」 は 「欲望」 とも訳せますが、 「望み」 とも訳せます。 「欲望」 という語調はドロドロとした汚いものを連想させます。 もしこの邦題が 「のぞみという名の電車」 だったとしたら、とても爽やかなイメージになりますね。 でも現代の人にはこの題名だけ見たら新幹線のビデオかと思うでしょうね。 一方のリバーフロント線の歴史は浅く、1988年の開業で、その線名の通りミシシッピー川沿いを走る観光目的の電車です。 アムトラックのニューオリンズ駅からは5ブロックほど西に進むとセントチャールス線の停留所にたどり着けます。 このあたりはガイドブックなどには治安の悪い地区と書かれています。 私も行きましたが、確かにホームレスの人などが多く、雰囲気がいいとは言えませんが、日のある内ならばそれほど危険ではないと思います。 基本的にホームレスの人は小銭やタバコなどをせがむ以上のことはしません。 それはニュースなどで 「OO州XX市でホームレスの人が銃を乱射し10人が死亡」 などという記事を一度も見たことがないことからも裏付けられます。 このような狂った犯罪を犯す人は、案外普通の人だし、普通の町のショッピングセンターにいたり、普通の高校生だったりするのです。 普通っていったい何なんだろう。 |
駅情報: |
所在地 |
1001 Loyola
Avenue |
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経緯度 |
北緯29.95度 西経90.08度 |
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標高 |
2m |
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人口 |
484674人 |
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駅員 |
有人駅 |
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営業時間 |
5:45 - 21:45 毎日 |
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駅舎 |
近代駅舎、1954年建造 |
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乗降客数 |
125978人 (2007年度) |
アムトラック列車情報: |
列車名 | 経路 |
[ Chicago, IL - Memphis, TN - Jackson, MS - New Orleans, LA ] |
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[ New York, NY - Charlotte, NC - Atlanta, GA - New Orleans, LA ] |
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[ Orlando, FL - Houston, TX - San Antonio, TX - Los Angeles, CA ] |
都市鉄道情報: |
名称 | 種別 |
New Orleans Regional Transit Authority (NORTA) |
ストリートカー |
2009年8月3日訪問 |
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駅舎正面 |
駅舎正面 |
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駅舎正面 |
駅前通り |
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2008年8月10日訪問 |
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駅舎正面 |
駅舎正面 |
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駅舎正面 |
「Magnolia Room」は寝台利用客用のラウンジ |
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チケットカウンター |
待合所 |
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北方向をのぞむ |
南方向(行止り)をのぞむ |
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プラットホーム(北方向をのぞむ) |
クレセント号のビューライナー寝台車 |
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French Quarter |
French Quarter |
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2001年11月23日訪問 |
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駅舎正面 |
駅舎正面 |
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チケットカウンター |
プラットホームは頭端式 (北方向をのぞむ) |
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