PHOENIX |
ARIZONA |
(PHX) |
フェニックスは人口約132万人、全米で第6位の大都市で、もちろんアリゾナ州で最大の都市となっています。 これだけの都市の駅が廃止になるというのはおかしな事ですが、これには訳があって、決してアムトラックが望んでした事ではないのです。 ルート変更の詳細は下図を見ていただければ分かりやすいかと思います。 赤の太線がサンセット・リミテッド号のルートで、黒の細線は貨物営業のみの路線を表しています。 フェニックス駅は赤丸○、その他のアムトラックの駅は青丸○、貨物駅は黒丸○で示しています。
UP = Union Pacific,
BNSF = Burlington Northern Santa Fe フェニックス経由の路線とマリコパ経由の路線はどちらもユニオン・パシフィック鉄道(UP)が所有ですが、フェニックスとウェルトン貨物駅の間は2次的路線での線路状態が悪く、そのためアムトラックのサンセットリミテッド号は主要路線であるマリコパ経由の線にルート変更せざるを得なかったのです。 大した都市もないマリコパ経由がメイン路線で、大都市圏を通るフェニックス経由の方が2次路線というのは、日本的鉄道敷設の感覚からいうと理解に苦しむのですが、単純に東西を最短距離で結ぶとすればマリコパ経由の方が短く、また貨物輸送量もマリコパ線の方が段違いに多いので、ユニオン・パシフィック鉄道にとってはマリコパ線の方が幹線としての役割を果たしているのです。 貨物鉄道であるユニオン・パシフィック鉄道にとって、需要の低い路線を格下げすることは経費削減などの意味もあり当然の選択であります。 ただ大都市フェニックスを失うサンセットリミテット号のダメージは大きく、アムトラックとしては何とかその路線をユニオン・パシフィック鉄道に高規格で維持していて貰いたかったと思います。 しかしルート変更の決定は覆ることなく、1996年5月28日にサンセットリミテッド号のルートはマリコパ経由へと変更されフェニックス駅は廃止されました。 それと同時に「テンペ」と 「クーリッジ」の両駅もルートから外れるため廃止となっています。 ルート変更後しばらくはツーソンとユマの間に駅は無かったのですが、2001年10月28日にフェニックス市の郊外に位置するマリコパに駅が造られ、現在に至ります。 フェニックス駅は1923年10月1日に開業したスパニッシュ風の駅舎が建っています。 これは Atchison, Topeka & Santa Fe(AT&SF)と Southern Pacific(SP)の合同駅(ユニオンステーション)として造られた駅舎です。 私が訪れた2001年5月の時点では 、この駅舎はアムトラックバスの駅として使用されていたので、正面入口の上部には白字で "Passenger Station" と書かれたアムトラックマークの付いた表示板が掲げてありました(現在ではアムトラックバスはこの駅からは発着しなくなり、駅舎がどのようになっているのかは不明です)。 駅舎正面はバス駅として使われているだけあり、列車が通っていた頃と何も変わらない状態なのですが、プラットホーム側へ回ると、ホームと駅舎との間に緑色の鉄柵が設置されていて、ホームから駅舎へは入れなくなっています。 この駅舎前の路線は、私が見た限りでは線路の上部は銀色に輝いていて、まだ何かの貨物輸送に使われているようでした。 また駅舎のすぐ東側には駅舎からホームまで続いていた回廊の跡が残っています。 今は閉鎖されていて倉庫として使っているようです。 最初にこの回廊を見た時、旧機関庫だと思っていました。 よく見れば機関車を入れるには小さすぎますよね。 駅から線路を東側に望むと、大きな建物が目に入ってきます(下にある写真を参照)。 この建物はメジャーリーグ・ベースボールの「アリゾナ・ダイアモンドバックス」(Arizona Diamondbacks)というチームが使用している球場です。 このチームは1998年に誕生した歴史の浅いチームですが、もうすでに2001年のワールドシリーズで優勝しています。 この場でこの球場やチームについて触れたのにはちょっと理由がありまして、1998年のアリゾナ・ダイアモンドバックスが誕生した年に、その野球ファンを送迎するための専用列車が1998年4月18日、19日の2日間、アムトラックの車両を使い運行されたことがあるのです。 この列車は 「Diamondbacks Express」 という名称が付けられフェニックスのすぐ東にある町テンペ(旧ルートの時はアムトラックの駅があった町)とダイアモンドバックス球場前(フェニックス駅のすぐ東側)の区間を運行しました。 このダイアモンドバックス・エクスプレスは1996年5月のアムトラック廃止以来の旅客列車で、野球の人気にも便乗したので、そのチケットは数時間の内に売り切れたそうです。 ダイアモンドバックス・エクスプレスの編成は西側から始めると、先頭に機関車1台(F-40 車番535)、アムフリート(シングルレベル)コーチ車7両、ドームカー(車番9302)1両、そして最後にまた機関車1台(F-40、車番不明)となっていました。 2台の機関車を両端につけていたのは、プッシュ・プル運転をするためと思われます。 またアムフリート客車はカリフォルニア州の短距離列車(当時のサンディエガン号、現パシフィック・サーフライナー号)で使用していた車両を、ロサンゼルスから運んできて使用したということです。 このダイアモンドバックス・エクスプレス号運転の状況を、「Arizona Rail Passenger Association」 のホームページで取り上げていて、列車の写真なども公開されているので、興味のある方はこちらからどうぞ。 盛況に終わったダイアモンドバックス・エクスプレスですが、それ以降このようなイベント列車は運行はされていません(2000年5月に新型タルゴの展示でアムトラックの列車がフェニックスに来ましたが、あまりにも特殊なイベントなのでスケジュールのあるイベントには含まれないと判断します)。 やはり車両を運搬する手間や費用が掛かり過ぎるのでしょう。 フェニックスにはコミュータートレインの構想もあり、もしそれが実現すればこの手のイベント列車は再び運行されるようになると思います。 いずれにしてもアムトラックの定期列車は、もう二度とフェニックスには来ない気がします。
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駅情報: |
所在地 |
401 West
Harrison Street |
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経緯度 |
北緯33.44度 西経112.08度 |
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標高 |
330m |
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人口 |
1445632人 (2010年統計) |
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駅舎 |
漆喰造駅舎、1923年建造 |
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現在状況 |
2008年9月現在、駅舎は健在 |
アムトラック列車情報: |
列車名 | 経路 |
[ Orlando, FL -
Houston, TX -
San Antonio, TX - Los Angeles, CA ] |
都市鉄道情報: |
名称 | 種別 |
ライトレール (2008年12月27日開業) |
2008年9月訪問 |
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駅舎正面 |
電話会社「Sprint」が使用 |
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駅舎正面 |
駅舎正面 |
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駅舎ホーム側 |
駅舎ホーム側 |
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駅舎ホーム側 |
旧回廊 |
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東方向をのぞむ |
西方向をのぞむ |
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駅周辺
(3rd Avenue) |
駅周辺 (3rd Avenue) |
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フェニックスの町並み |
ライトレール(Valley Metro) |
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2003年5月訪問 |
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駅舎正面 |
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緑色の鉄柵で閉切られている駅舎ホーム側 |
ホーム側の出入口上部にある駅名表示 |
機関庫に見えるがこれはホームへの回廊跡 |
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ホーム側から見た回廊跡 |
ツーソン(東)方面 |
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